今、『寄生獣』を読みかえしてみたり。

寄生獣(完全版)(1) (KCデラックス)

寄生獣(完全版)(1) (KCデラックス)

人間を食する『寄生生物側』、『人間側』、そしてその中間者として存在する『新一とミギー側』、この「利害が一致しない」三者間での高度な知略戦がこの物語を他のバイオレンスコミックから一線を画す結果となっている。また、パラサイト探知能力のある一人間として人類全体のために動きたいと思っている新一と、寄生生物としてあくまで利己的であるミギーとのやりとりもこの物語の見所の一つである。
現在、清水崇監督によるハリウッド実写映画化が予定されている。


寄生獣 出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』


読む度に新しい発見がある作品。あと名言の宝庫。

人間に取り付き、人間を食らう寄生生物達の口から出る言葉は、ストレートに胸に響く。

ミンチ殺人が世間を騒がしている中、ごみ箱に捨てられたハンバーガーを見た新一が一言、「ミンチだ」とか。この一言と、やたらどす黒いハンバーグの断面は、当時としては相当なインパクトだった。

その反面、人間が捕食されていく様子は絵面の割にはすんなり受け入れられたように思う。ホラー作品とは違い、モンスター=寄生生物の目的が、新一視点で序盤ではっきりと名言されているせいか。この辺り、ハリウッド版が制作されるなら、単なるパニック映画にならないことを願いたいなぁ。最近『AKIRA』のハリウッド版が暗礁に乗り上げたし、これもどうなるか分らないけどね。どう作っても原作及びアニメ版から劣化しそうな『AKIRA』よりはまだマシかもしれないけれど、原作に忠実に撮って魅力が増すとも思えないのがきになる所。


ミギー「私は恥ずかしげもなく『地球のため』などという人間が嫌いだ。
なぜなら地球は初めから泣きも笑いもしないからな。
何しろ地球で最初の生命は煮えた硫酸の海で生まれたそうだ」


人の為と書いて偽りと読む、とは良く出来てるなぁといつも思う。