絆と背骨@サマーウォーズ

やっと見てきた『サマーウォーズ』。

同じ細田監督作品『時をかける少女』を劇場で見に行ったのも懐かしく感じるなぁ。

大雑把ではあるが感想を。


あらすじ。情報を取り込んで成長していくハッキングAIの脅威によって起きる、仮想世界OZ(オズ)、及びそこに依存しきった現実世界の混乱。世界中が翻弄される中、それに立ち向かうのはヒロインである篠原 夏希とその実家、陣内家の大家族と、そこにお邪魔していた夏希の後輩、主人公の小磯健二だった。


仮想世界に現れた謎の敵。混乱から現実世界にも危機が迫る……と書くと、思い出すのは世代的に直撃だった同じ細田監督『劇場版デジタルモンスター ぼくらのウォーゲーム!』。仮想世界でのボディであるアバター同士が戦うシーンなど、まさにデジモン


その『ぼくらのウォーゲーム!』との明確な違いであり、本作のテーマとして全面に押し出されているのが人間同士の絆という部分か。仮想世界でAIが起こした混乱を、現実世界の人の繋がりで立ち向かう。シンプルだが燃えるシチュエーションだと思う。


惜しむらくは、キャラクターの中にスーパーマンが多過ぎることか。OZ内の格闘チャンピオンの中学生。世界を混乱に陥れたハッキングAIの生みの親であるプログラマー。個人で混乱する関係各所の大物に連絡を付けて騒ぎを沈静化させるお婆ちゃん。高性能AIと花札で渡り合う女子高生。世界最高とうたわれるセキュリティを次々突破する高校生。これらの設定が突飛すぎる、ということではなくて、この設定に説得力を与えるバックボーンの描写が足りていないのだ。せめて、ジョーカーは一枚に絞って置いた方が良かった。


他人のアバターを取り込んで強さを増すAIを相手に戦う人間達には、数人の個人の突出した能力ではなく、アイディアと信頼と連携で切り抜けて欲しかった、と思ってしまう部分が残るのが惜しいところだ。絆、というテーマだからこそ、そう感じてしまう。絆も能力も積み重ねて築くもの。夏の物語には暑苦しいほどの泥臭さが、もうひとさじ欲しかった。